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番外編★【海外ワーキングガール事情 Vol.4 後編】多種多様な民族が暮らすアメリカで経理・財務のトップとして働く

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アメリカ在住の寺田治子さん

今回は前編に続き、アメリカで、企業のファイナンシャルコントローラーとして働く寺田治子さんが日本とはかなり異なるアメリカの社会をレポートしてくれました。

異なる人種・文化を尊重する

(以下アメリカ在住の寺田治子さんよりお伝えいたします)

アメリカは訴訟の多い国として知られています。特に人事問題の訴訟は頻繁にあります。そんなアメリカで、私は数年前、会社の従業員マニュアルの作成プロジェクトを任されていました。そのマニュアル作成・施行にあたり、最新の注意を払い仕事を進めました。というのも、例えばアメリカの企業において日本人が多い場合、便宜上従業員ハンドブックの日本語翻訳版も作成したとします。

しかし、もしも同じような割合で他の言語を母国語として話す従業員が多い場合(例えばスペイン語を母国語とする国が多いため、必然的にスペイン語を話す従業員の割合が多くなることがあります)、 スペイン語の翻訳本も作成しなければ差別と見られてしまう可能性があるのです。この例の場合、ある一定のグループのみ(日本語を母国語とする人々)に特別待遇 (そのつもりがなくともそうみなされてしまう)を与えると、他のグループ(スペイン語を母国語とする人々)が差別されていると感じてしまうわけです。そのため、会社は常にある人種を特別に優遇していないか、平等に機会を与えているか細心の注意を払う必要があります。

そのように平等に機会を与える努力をすることによって、個人の能力、人柄を人種文化の枠を超えて尊重しようとしているアメリカの企業の姿勢を感じます。この国は、本当に人種の坩堝です。大学時代住んでいたニューヨークはもちろん、今いるミシガンも多人種多文化の人々が共存しています

こうした社会のため、私自身も異なる人種・背景を尊重するということにとくに気を遣って働いています。実際に差別はどこにでも存在しています。 もしくは私自身も差別されている、アジア系ということで卑下されるということもあります。しかしその差別をなくす為に、アメリカという国は様々な努力をしているのです。それは、訴訟問題回避という目的もあるかと思いますが、アメリカの移民国家としてのアイデンティティを尊重するためでもあると感じます。とくに若い世代の人々は、人種・文化の違いを尊重する教育を幼少の頃から学校で受けて育っています。

実際私の息子達を見ても、異なる背景を持つことのセンシティブさを中学生ともなるとよく理解しています。そして何がポリティカリーコレクト(差別になる言葉を理解し政治的・対外的に正確な姿勢・態度)かを、様々な人種の同級生を通じ肌で学びます。

「お客さん」から「住人」へ

アメリカでは、とくに労働法の改正や人事管理における課題は変化し続けています。このような国に住み働くにあたり、私は労働法専門の弁護士事務所が主催するセミナーや人事管理コンサルタントのセミナー等に時間の許す限り参加するようにしています。時代の移り変わりに応じて常に新しい問題が出てきているわけですが、ここ2、3年はソーシャルネットワークの発達で、フェイスブックに会社の悪口を書く従業員に対する懲罰などが話題になることが多くなっています。セミナーでは、会社として該当する従業員への対応などを法律的に説明してくれました。 昨年ぐらいからの話題は、健康保険の法律改正(「オバマケア」と一般的に呼ばれています)に伴う法律に関するトピックが多いです。

訴訟問題にならない為にも、様々なシチュエーションでの会社の対処法を常に学ぶ姿勢が必要になってくるのです。アメリカは異なる人種・文化の方々を許容するために常に試行錯誤している国。毎日様々な背景を持つ人々と働く中、私が一番大切にしていることは誠意を持つということです。会社で多くの人と出会いますが、感謝と敬意の気持ちで、常に笑顔で平等に接することを心がけています。何かミスをしたときもそうです。勿論仕事には細心の注意を払うのでそういう機会は少ないのですが、誠意を持って対応する姿勢から出発すると、最終的には周囲の協力を得て解決できます。とても基本的なことですが、だからこそ人種を超えて全ての人々に受け入れられていると感じます。

20数年前、アメリカの高校に通う為にアメリカに来たとき、私は〝日本という外国から来たお客さん〞でした。その当時アジア系が殆どいない高校では、差別を受けたと感じたこともあります。しかし私を自宅にステイさせてくれたホストファミリーは、私を本当の娘のように受け入れてくれました。そのホストファミリーの息子さんたち(ホストブラザー)も成長の過程で、私を通して異なる文化を直に学べたと今でも感謝されます。

ホストファミリー

▲ホストファミリーと再会して日本食レストランの前で

今では立派な弁護士になったホストブラザーは、私が滞在していたときは小学5年生でした。手先が器用でとても好奇心に溢れていた彼に、折鶴の作り方を教えてあげたのを覚えています。私がホームステイを終えて帰国した後も彼は折鶴を作り、小学校では校長先生からいろいろなクラスで教える役を任され、皆にとても感謝されたということでした。彼の折鶴のキャリアはそこで留まらず、成人した後にもなんとアフリカの孤児院で教える機会があったということでした。金髪白人の彼が、黒人の孤児達に日本の伝統の折鶴を教える姿を想像すると、なんとも微笑ましい限りです。

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▲主人のレストラン

また何の気なしに教えた折鶴が、立派に人と人との架け橋として役立っていたことにとても感激しました。初めてアメリカの地を踏んでからすでに20年以上が過ぎました。アメリカに来るきっかけを作ってくれた母、陰ながら応援してくれている兄と今は亡き父に心から感謝しています。いつからか私も外国から来たお客さんという立場を卒業してアメリカで働き、住んでいます。そして昨年末には主人が日本食レストランをオープンしました。アメリカの住人として、人種・文化を超えた共存のために、仕事や主人のビジネスを通して少しでも貢献していきたいと思っています。

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▲レストランのグランドオープニングで市
長から祝辞を受ける主人

 

 

ブログ:「アメリカ生活20数年〜ちょっといい出来事・わくわくすること・気づき・楽しいこと〜いろいろ綴っています。

*ニックネームの「マルヒア」はハワイ語で平和という意味です。 自分が常に平和な心を持てるよう願いを込めてつけました。英語で「Peace begins with me.」という言葉があるとおり、平和は自分自身から始まると信じています。

転載元 「研修出版発行 月刊OLマニュアル 2014年4月号 35頁から39頁掲載」(WEB転載許諾取得済)