「最低賃金制度」について(2)
今回は、最低賃金の金額等について具体的に見ていきます。
1.最低賃金の決定方法
最低賃金は、最低賃金審議会で、賃金の実態調査結果など各種統計資料を十分に参考にしながら審議を行い決定しています。
(1)地域別最低賃金
中央最低賃金審議会から示される引上げ額の目安を参考にしながら、地方最低賃金審議会(公益代表、労働者代表、使用者代表の各同数の委員で構成)での地域の実情を踏まえた審議・答申を得た後、異議申出に関する手続を経て、都道府県労働局長が決定します。
(2)特定(産業別)最低賃金
特定の産業について関係労使の申出に基づき、地方最低賃金審議会が必要と認めた場合で、賃金の実態調査結果など各種統計資料を十分に参考にしながら審議を行い、都道府県労働局長が決定します。
2.最低賃金額以上となっているかのチェック方法は?
支払われる賃金が、最低賃金額以上となっているかを確認するためには、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で比較します。
(1)時間給の場合
時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)
(2)日給の場合
日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、
(3)日給 ≧ 最低賃金額(日額)
月給 ÷ 1か月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
(4)上記1、2、3の組み合わせの場合
例えば基本給が日給制で各手当が月給制などの場合は、それぞれ上記2、3の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)と比較します。ただし、最低賃金額との比較にあたって次の賃金は算入しません。
①臨時に支払われる賃金(インセンティブなど)
②1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
③所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
④所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
⑤ 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分 (深夜割増賃金など)
⑥精皆勤手当、通勤手当および家族手当