第7回 結婚後、仕事と家庭を両立してどちらも充実させたい

コンサルタント 2020.03.16
キャリアコンサルタント 二本柳 聡美 氏
キャリアコンサルタント
二本柳 聡美 氏
第7回 結婚後、仕事と家庭を両立してどちらも充実させたい
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半年後に結婚を控え、仕事を続けていくことについて悩んでいます。今は、派遣で秘書の仕事をしていますが、とてもやりがいがあり、できればスキルアップをしながら秘書としての経験を積んでいきたいと思っています。最近、海外とのやりとりが増え、時々英語を使う機会があるので、もっと英語力を磨いて、英会話や英文メール、英語のドキュメント作成もできるようになって、ステップアップしたい、いずれは正社員になりたい、とも思っています。

でも、近い将来、子どもも欲しいので、家庭を優先したい気持ちもあります。なるべく残業がなく、プライベートの時間を取れる仕事がいいとも思うのですが、もし正社員になったら残業で遅くなることもあると思うし、スキルアップのための勉強もしたいので、正直、結婚後に仕事と家庭の両立ができるのか、不安です。

結婚後や出産後、皆さんは何を優先して仕事と家庭を両立しているのか、どのように仕事と家庭のバランスを保っているのか、とても気になります。どちらも充実させるためには、何から考えればいいのでしょうか。(29才・女性)

A

「仕事と家庭のバランス」といっても、そのバランスは人それぞれ。仕事と家庭の割合が4:6でうまくいく人もいれば、8:2でもうまく両立している人もいます。ご相談者様が何をもって「両立させている」とするのか、それはご自身の価値観や優先順位によって変わってくるでしょう。

例えば、「子どもより先に家に帰って“お帰りなさい”と言ってあげたい」と考えるなら、仕事に求める条件として、残業がないことや定時より早く終業できる短時間勤務であることの優先順位が高くなりますね。

「家の中をいつも綺麗に保ちたい」と考えるなら、こまめに掃除をする必要がありますが、どうやって掃除をするべきかの価値観は人それぞれです。自分で全てやろうとする人もいれば、家族で分担しようとする人や、最新の家電製品や家事代行などのサービスを活用しようとする人もいるでしょう。どれくらい綺麗である必要があるかの基準も人によって違います。

また、「夕食は必ず家族揃って食卓を囲みたい」という理想を持っている場合も、必ず自分で料理をして手作りの食事を準備したいという人もいれば、料理する時間をほかのことに充てるためにお惣菜やレトルト食品などを活用したり外食をするという人もいて、“料理をすること”に対する考え方はさまざまです。

何を優先したいか・優先しなければいけないか、によって、時間の使い方も変わります。家事や育児に関わることを自分で完璧にやることの優先順位が高ければ、必然的に仕事に費やせる時間は少なくなるので、短時間の仕事に就くことや、“仕事をしない”という選択をするかもしれません。逆に、仕事をすることの優先順位が高い場合は、家事や育児にかけられる時間が少なくなるため、協力してくれる人や活用できるサービスを探す、完璧を求めない、など何らかの折り合いをつけることを考えることになるでしょう。

こうした、普段あまり深堀りしていないご自身の理想的な家庭のあり方に対する価値観や優先順位をしっかり洗い出すことで、「仕事と家庭のバランスを保って、どちらも充実させたい」という希望の具体的なイメージを描いてみることをおすすめします。そして、それが実現できる働き方を探っていくと良いでしょう。また、結婚する前、子どもを授かる前から「理想的な家庭のあり方」「理想の働き方」をパートナーと十分話し合い、お互いの想いを確認しておけると良いですね。

それから、結婚後に仕事と家庭の両立ができるのか、と不安を感じていらっしゃるとのことですが、まだ見ぬ未来のために、やりがいのある仕事を手放し、自らキャリアを中断してしまうのはとてももったいないことです。実際に挑戦してみて、仕事と家庭の両立の難しさを感じたら、働き方を変えたり、仕事を辞めることを検討したりする、としても遅くはないでしょう。

一度辞めてしまうと再就職するのは想像以上にハードルが高いということもあります。小さい子どもを抱えながらの就職活動は想像以上に大変です。いわゆる保活(子どもを預ける保育園を探す活動)においても、求職中の方はなかなか保育園に入りにくいという厳しい現状があります。また、再就職を目指す女性のご支援をしていて強く感じるのは、お仕事をしていない期間、いわゆる“ブランク”が空けば空くほど、再就職に向けて自信がなくなる方が多いということです。

最近では「多様な正社員」と言って、正社員であっても勤務時間や勤務地を限定した中で働ける制度を整えている会社も増えました。また、派遣社員でも条件を満たせば産前・産後休業、育児休業を取得することが可能です。その間にスキルアップのための勉強をしたり、資格を取得したりする方も多く、子どもがいても、スキルアップやキャリアを諦めずに働き続けることも不可能ではありません。子育て支援の一環としてさまざまなサービスもあります。必要な時にはうまく頼って乗り切りたいものですね。
ご相談者様には、これから築かれるご家庭も、そしてご自身の人生も、どちらも大切にしてほしいと思います。

いずれ子どもを授かり、仕事と子育ての両立に奮闘しているうちに、ふと振り返ったら、子どもに手のかかる時期は思ったよりも短かったと感じるかもしれません。これからの人生ずっと同じことの繰り返しということはなく、さまざまな変化がさまざまなタイミングで訪れると思います。まずはご結婚後の生活の変化を楽しみながら、ご自身のスタイルを作っていってください。 現在の秘書の仕事にとてもやりがいを感じていらっしゃるのは素敵なことです。今後も得意の英語を活かし、秘書としてご活躍されますように。応援しています!

子育て支援として提供されている民間・行政サービスの例
キャリアコンサルタント 二本柳 聡美 氏
キャリアコンサルタント
二本柳 聡美 氏

サービス会社の営業担当として勤務する中、キャリアコンサルタントの資格を取得。大手人材紹介サービス会社やハローワークでの就転職支援を経て、キャリアコンサルタントとして独立。現在は、首都圏の企業や自治体、教育機関などで、キャリアカウンセリングや研修・セミナー講師の仕事を通して、主に女性のキャリア支援及び学生の就職支援に携わる。プライベートでは、一男一女の母。国家資格キャリアコンサルタント登録。2級キャリアコンサルティング技能士。東京外国語大学卒。東京都出身。

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