第3回 充実した日々を過ごすためには、目標を持って努力することも必要?
二本柳 聡美 氏
大学卒業後、一度就職しましたが、業務内容が合わなかったため1年ほどで退職し、それからずっと派遣で働いています。今の派遣先は3社目で、もうすぐ1年が経ちますが、職場環境にも仕事内容にも不満はなく、楽しく働いています。派遣という働き方も気に入っているのですが、最近、「この先ずっと働くなら、もっと自由に自分のペースで働きたい、人生一度きりだから好きなことを仕事にしたい」と思うようになりました。大学時代の先輩が、資格を取って独立をしたと聞き、自分にもできるのではないかと影響を受けました。
まだ結婚の予定はなく、実家暮らしなので、資格を取る勉強をするなら今がタイミング的にはベストだと思っています。大学では心理学を勉強していたので、カウンセリングやアドバイザーのような仕事に興味があります。私の希望に近い仕事、必要な資格、独立のメリット・デメリットなど、何でもいいのでアドバイスをお願いします。 (27才・女性)
働き方が多様化し、自由に選べる時代になりました。会社に雇われるだけが唯一の働き方ではありません。ご相談者様のように「自分のペースで働きたい」「好きな仕事をしたい」と、独立を目指す女性も増えました。「独立」と言っても、会社を起こすのではなく、「フリーランス」という働き方を選ぶ人も増えています。個人事業主として、自分の得意なこと、好きなことを活かし、専門性やスキルを磨き、その道のプロフェッショナルとして活躍するスタイルです。
心理学の基礎的な知識をお持ちであれば、カウンセリングやアドバイザーといった仕事に就くための勉強も理解が進みやすく、有利ですね。資格の選び方について、「これを取れば万能」という資格は残念ながらありません。自分が目指したい方向性やイメージしている仕事に活かせる知識・スキルが身につけられるかどうかがとても重要です。例えば、「心理カウンセラー」という資格ひとつとってもいろいろな機関がプログラムを提供し、認定しています。カウンセリングアプローチも様々です。通信教育や数日の講習を受けてレポートを提出すれば取れてしまうものもあれば、学会に所属したり、大学院を修了した上で、試験に合格しないと取得できないものもあります。何はともあれ、カウンセリングの勉強をするということは、コミュニケーションの取り方、信頼関係の構築のしかたを基礎から見直すきっかけになります。資格取得を通じて身につけたカウンセリングスキル(特に傾聴スキル)は、カウンセラーとしてのみならず、ふだんの生活でもきっと役立つことでしょう。
また、私のようなキャリアコンサルタントという仕事もカウンセリングスキルを求められる仕事のひとつ。2016年から国家資格化され、知名度も上がってきました。その役割は法律で「労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと」と定義され、「キャリア」=「働き方」「生き方」に焦点を当ててカウンセリングを行う仕事です。
二本柳 聡美 氏
サービス会社の営業担当として勤務する中、キャリアコンサルタントの資格を取得。大手人材紹介サービス会社やハローワークでの就転職支援を経て、キャリアコンサルタントとして独立。現在は、首都圏の企業や自治体、教育機関などで、キャリアカウンセリングや研修・セミナー講師の仕事を通して、主に女性のキャリア支援及び学生の就職支援に携わる。プライベートでは、一男一女の母。国家資格キャリアコンサルタント登録。2級キャリアコンサルティング技能士。東京外国語大学卒。東京都出身。