終身雇用や年功序列といった日本企業独特の雇用制度が崩壊しつつある今、会社頼みのキャリア設計ではなく、自分の生き方や働き方は自分で考え、主体的に選択していくことを求められる時代になりました。会社に勤めながらも、もう一つのビジネスやボランティアなど「副業」や「週末起業」にチャレンジする人も増えています。そのような時代の流れの中で、「家事に負担にないように残業のない仕事」ということで、プライベートを大切にするために派遣社員という形態を選ぶのも、主体的なキャリア選択の一つと言えますね。

特に女性の場合は、出産や子育てなどライフステージの変化によって、どうしても断続的なキャリアになりがちなのですが、キャリア転換を迫られた時には、そのつど、しなやかに柔軟に、かつ主体的に働き方を選んでいきたいものです。その時に大切になるのが、「キャリアのゴールイメージ」。先のことについて、確実なことはもちろん誰にもわかりません。しかし、今の段階で構わないので、将来、ご自身がどこを目指し、10年後、20年後にどうなりたいのかをイメージしてみることが大切です。何となくでも、ぼんやりとでも目指す方向性が定まっていれば、選択を迫られた時の一つの基準にすることができるでしょう。

一般的に「正社員のほうが安定している」というイメージがありますが、収入面だけで見れば、残業などを含めて実働時間で割り算してみると、派遣よりも実は時間単価が安かったり、ボーナス頼みの年収は業績や景気などによって期待はずれとなり、収入プランが崩れることもあったりと、一概に「正社員のほうが良い」とは言えません。では、何を基準に働き方を選択していけばよいのでしょうか。

正社員は企業という一つの組織の中で働き続けることで、一般的にはジョブローテーションを通して色々な部署での経験をするチャンスがあります。そういった業務を通して幅広い知識やスキルを身につけることも可能でしょう。配属されるのは必ずしも希望の部署、職種、仕事内容とは限りませんが、キャリアを積んでいけば、責任ある仕事を任されたり、本人が望む・望まないに関わらず、管理職としてマネジメントの職務を担う可能性もあります。役職に応じて収入が増えていくことも考えられます。

一方、派遣という働き方は自分のライフスタイルや希望条件に合わせて働けるところがメリットの一つと言えます。また、基本的には仕事内容を確認した上で、引き受けるかどうかを自分で判断することができます。期間は限定的ですが、いろいろな企業や職場での仕事を経験して、自らのスキルアップを図ることも可能です。経験を重ね、自身のスキルを上げていくことで、徐々に時給の高い仕事にチャレンジすることができ、結果的には年収アップにもつながります。そういった意味では、自身の市場価値がダイレクトに収入に反映され、わかりやすいという点もメリットの一つと言えますね。派遣社員として経験を積む中で、自分の得意なことで専門性を高め、将来的にはフリーランスや起業を目指す人も増えてきているようです。

お子さんが生まれ、ある程度大きくなってからまた働き始めたとしても、あと20年程度は働くことを考えると、「自分のために」「主体性をもって」キャリア選択をしていきたいものです。自身にとって「働く目的」は何か、働く上で「大切にしたい価値観」や「譲れない条件」は何か。単にお金を稼ぐということだけではなく、家族との生活や趣味の時間を大切にしたい、得意な分野でスキルアップをして専門性を高めたい、一つの会社で腰を据えて長く働き続けていきたい・・・等々。自分とじっくり向き合った上で今後の働き方を選択していきたいものですね。